解析系大学院への進学を考えている方には辞書代わりとしても最適.
本書は現代の解析学の基本的な言語となっている関数解析をほとんど微積分と複素関数論の初歩のみの知識を前提として詳しく述べたものであるが,狭義の関数解析にとどまらず,その基礎と応用に関わる基本的事項まで広く扱い,他書参照の必要がなく自己完結的になっている.関数解析としてはコンパクト作用素のスペクトル理論や自己共役作用素のスペクトル分解までの通常のコースに加え,弱位相にかんする定理や局所凸空間についても述べてある.関数解析で必要となる位相空間論についてはかなり詳しく述べられ,選択公理と Zorn の補題の同値性にいたるまで証明されている.また,解析学の問題に適用する際に必要な非有界線型作用素や Banach 空間値関数の微積分,解析関数,Bochner 積分も扱っている.さらに,応用上不可欠な Lp などの関数空間についても基礎事項を丁寧に説明している.連続関数空間については,Ascoli-Arzela の定理,1 の分解の存在,Riesz-Markov-角谷の表現定理などの古典的定理の証明が与えられている.
ISBN 978-4-946552-18-2 宮島静雄著 A5変型 p.542■3250円税(3510円・税込)
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目次
1章 位相的基礎概念 4章 Hilbert 空間とその上の作用素
1.0
本書で用いる基本的な記号
4.1
Hilbert 空間の定義と例
1.1
距離空間の位相 4.1.1 内積空間とそのノルム
1.1.1 距離空間の定義と例 4.1.2 内積空間,Hilbert 空間の例
1.1.2 距離空間における諸概念 4.1.3 ノルム空間の中での,内積空間の特徴付け
1.1.3 写像の連続性
4.2
直交性,射影定理
1.1.4 コンパクト性,完備性 4.2.1 直交性,射影定理から直交直和分解へ
1.2
一般位相空間 4.2.2 完全正規直交系の存在とその応用
1.2.1 一般的な位相の導入
4.3
Riesz の表現定理とその応用
1.2.2 写像の連続性 4.3.1 Riesz の表現定理
1.2.3 コンパクト性 4.3.2 form と作用素
1.2.4 連結性 4.3.3 変分問題への応用
1.2.5 有向族による記述
4.4
自己共役作用素の構造
1.2.6 新しい位相空間の構成 4.4.1 自己共役作用素のスペクトルとノルム
1.2.7 フィルターと超フィルター 4.4.2 コンパクトな自己共役作用素のスペクトル分解
1.2.8 一様位相空間 4.4.3 自己共役作用素の順序とその応用
1.3
選択公理と Zorn の補題 4.4.4 有界自己共役作用素のスペクトル分解
1.3.1 概説 4.4.5 スペクトル分解の第2の表現
1.3.2 選択公理と Zorn の補題の同値性
4.5
連続対称核積分作用素の Hilbert-Schmidt 理論
2章 Banach 空間の基礎理論 5章 関数解析の展開
2.1
ノルム空間
5.1
汎弱閉集合,弱コンパクト集合に関する基本定理
2.1.1 定義と例 5.1.1 凸集合の汎弱閉性の判定条件
2.1.2  新しいノルム空間の構成 5.1.2 弱コンパクト性の判定条件:Eberlein-Smulian の定理
2.2
Banach 空間の定義と例 5.1.3 弱コンパクト集合の閉凸包:Krein の定理
2.3
Baire のカテゴリー定理
5.2
局所凸位相線型空間
2.3.1 Baire のカテゴリーとカテゴリー定理 5.2.1 定義と距離付け可能性
2.3.2 Baire のカテゴリー定理の応用 5.2.2 Frechet 空間に対する基本定理
2.4
有界線型作用素 5.2.3 ノルム空間における概念の分化と一般化
2.5
一様有界性定理 5.2.4 共役空間
2.6
開写像定理と閉グラフ定理 5.2.5 LF 空間
2.7
共役空間とその表現 6章 関数空間の基礎
2.8
Hahn-Banach の拡張定理
6.1
Lp 空間,Sobolev 空間と連続関数空間
2.8.1 Hahn-Banach の拡張定理 6.1.1 Lebesgue 測度の正則性とその結果
2.8.2 Hahn-Banach の拡張定理の応用 6.1.2 合成積と軟化子 (mollifier)
2.9
Hahn-Banach の分離定理
6.2
Lp 空間の双対性(duality)
2.9.1 超平面,Minkowski ゲージ,分離定理
6.3
Riesz-Thorin の補間定理
2.9.2 簡単な応用と反例
6.4
Lp 空間に関する補足事項
2.9.3 応用:Krein-Milman の定理,Min-Max 定理 7章 解析学の基礎事項
2.10
弱位相,汎弱位相
7.1
Lebesgue 積分の概要
2.10.1 弱位相,汎弱位相の定義と基本性質 7.1.1 測度の定義
2.10.2 反射性と弱コンパクト性 7.1.2 Lebesgue 積分の定義
2.10.3 Banach 空間と連続関数空間 7.1.3 Lebesgue 積分での諸定理
3章 Banach 空間上の作用素論
7.2
連続関数の存在定理:Uryson, Tietze の定理など
3.1
作用素のスペクトル 7.2.1 正規空間上の連続関数
3.1.1 スペクトルとリゾルベントの基本性質 7.2.2 局所有限開被覆に関する 1 の分解
3.1.2 スペクトルの分類 7.2.3 パラコンパクト空間
3.1.3 共役作用素とスペクトル
7.3
Riesz Markov-角谷の表現定理
3.2
コンパクト作用素の理論
7.4
Stone-Weierstrass の定理
3.2.1 有限次元ノルム空間
7.5
Fourier 変換の基礎事項
3.2.2 コンパクト作用素
3.2.3 Fredholm-Riesz-Schauder の理論 ■正誤表はこちら
3.2.4 コンパクト性に関わる諸結果
3.3
非有界作用素
3.3.1 閉作用素の定義と例
3.3.2 閉作用素のスペクトル
3.3.3 擬リゾルベント(pseudo-resolvent)
3.4
Banach 空間値の微積分と作用素論への応用
3.4.1 実変数連続関数の微積分
3.4.2 Banach 空間値複素解析関数と Dunford 積分
3.4.3 Bochner 積分

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